今回は、私が転職して良かったこと・後悔したことについて少しお話ししてみようと思います。
まず、私がどのような経歴なのか簡単に紹介します。
私は新卒で医薬品メーカーに入社し、生産課で2年半、品質管理課で2年半勤務しました。
その後、転職して現在は工業製品のメーカーで、品質管理・品質保証の仕事をしています。
転職してからまだ3ヶ月ほどなので、正直なところ、現在の環境についてすべてを理解できているわけではありません。
それでも、これまでとは異なる業界に転職したことで、
「転職して良かった」と感じること
もあれば、
「これは前の会社の方が良かったな」と感じること
もあります。
今回は、そんな転職後3ヶ月時点で感じていることを、良かったこと・後悔したことに分けて紹介していきたいと思います。
これから転職を考えている方や、異業種への転職を考えている方の参考になればと思います。
転職して良かったこと
①仕事の密度が緩やかになった
転職して一番良かったと感じているのが、仕事の密度が緩やかになったことです。
以前は、膨大な作業量に加えて、試験の管理や異常が発生した際の対応なども行っていました。
自分で試験を実施するだけではなく、試験の進捗を管理したり、異常があれば原因を確認したり、その後の対応を考えたりする必要があります。
言ってしまえば、オペレーターとマネージャーを同時にやっているような状態だったのかもしれません。
当然、すべての業務を定時内に終わらせることは難しく、
「今日はここまでやろう」
「もう少し残ってこの仕事を終わらせよう」
と、どこまで仕事をするかを常に考えていたように思います。
もちろん、世間一般と比較すれば、そこまで長時間残業をしていたわけではありません。
それでも私自身は、残業時間よりも仕事の密度の高さにしんどさを感じることがありました。
次から次へとやることが出てきて、常に頭の中に仕事が残っているような感覚です。
今振り返ると、仕事の量というよりも、自分の頭の中に抱える情報や判断することが多すぎたことが、きつさにつながっていたのかもしれません。
一方で、今の仕事を経験してみて、
「もしかしたら、以前の仕事もやり方次第でもう少し楽にできたのではないか」
とも思うようになりました。
例えば、
- 自分の仕事と他人の仕事をしっかり線引きする
- 余裕がないときは、必要以上に仕事に首を突っ込まない
- 自分ができることを、できる範囲でやる
- 何でも自分で抱え込まない
こういったことができる人であれば、同じ環境でもうまく仕事を回せていたのかもしれません。
私はどちらかというと、頼まれたり、問題が起きたりすると、自分の仕事でなくても関わってしまうタイプでした。
そのため、今振り返ると、仕事そのものだけではなく、自分自身の仕事のマネジメントがあまり上手くなかったのだと思います。
転職して仕事の密度が緩やかになったことで、以前の働き方を客観的に振り返ることができるようになったのも、転職して良かったことの一つだと感じています。
②オペレーター的な仕事からマネージャー的な仕事へのシフト
転職して良かったことの2つ目は、仕事の内容が「手を動かす仕事」から「考えて管理する仕事」へ変わったことです。
前の職場では、試験の工数をこなすことが仕事の中心でした。
もちろん、それだけではなく、
- 文書の改訂
- 異常報告
- 試験結果の照査
- 試験内容の確認
- 改善活動
なども行っていました。
ただ、実際には日々の試験や文書管理などに追われることが多く、本来やりたかった改善活動や、より良い状態にするためのアプローチに時間を使うことが難しい環境でした。
決められた試験をこなし、必要な文書を管理し、そのうえで目標として設定された改善活動をなんとか進める。
この働き方が合っている人もいると思います。
「決められた仕事を淡々とこなすことが苦にならない」
「試験そのもののスキルを高めたい」
という人にとっては、むしろ良い環境なのかもしれません。
一方、現在の職場では、試験そのものの工数が以前と比べて圧倒的に少なくなりました。
そのため、試験者としての経験やスキルを積むという意味では、以前の職場の方が良かったと感じる部分もあります。
しかし、その分、
「この業務はもっと良くできないか」
「この工程に問題はないか」
「今のやり方を変える必要はないか」
といったことを考える時間が増えました。
また、以前の職場では「試験の管理」が中心だったのに対して、現在は試験だけではなく、工程そのものを管理することも必要になっていると感じています。
これは、現在の仕事が単純な品質管理ではなく、品質保証の中にある品質管理課という立場だからこそなのかもしれません。
同じ「品質管理」という名前でも、会社や業界によって仕事内容がかなり違うことを実感しています。
以前は、
「自分で試験をする」
ことが仕事の中心でした。
現在は、
「試験や工程をどう管理するかを考える」
ことにも比重が置かれています。
どちらが良いかは、人によって大きく変わると思います。
試験をたくさん経験して専門的なスキルを身につけたい人には、前の職場のような環境が合っているかもしれません。
一方で、現場や工程を見ながら問題点を考えたり、改善したりする仕事が好きな人にとっては、現在の仕事の方が向いていると思います。
私自身もまだ転職して3ヶ月なので、今の仕事を完全に理解できているわけではありません。
それでも、これまでとは違う業界・違う立場で仕事をすることで、「品質管理」という仕事にもいろいろな形があることを知れたのは、大きな学びになっています。
試験をメインにするのか、管理をメインにするのか。
今のところどちらが自分に合っているのかは、まだはっきりとは分かりません。
ただ、管理に重きを置く現在の仕事も、これまでとは違った意味で学びが多い仕事だと感じています。
③新たな知見を得られた
先ほどの内容とも少し重なりますが、業界が変わったことで新しい知識や経験を得られたことも、転職して良かったことの一つです。
もちろん、新しいことを覚えるのは大変です。
これまで経験したことのないルールや仕組みを覚えたり、業界特有の言葉を理解したりする必要があります。
それでも、今まで知らなかったことを一から学ぶというのは、個人的には面白いものだと感じています。
同じ会社で長く働いていれば、基本的には今までやってきた仕事をベースに、
「少しずつできることを増やしていく」
という形になると思います。
もちろん、それによって専門性が高まっていくという大きなメリットがあります。
また、同じ業界・同じ職種で転職した場合も、会社によってシステムやルールは違っていても、これまでの経験を活かせるため、比較的早く仕事に慣れることができると思います。
一方、私は今回、医薬品から工業製品へと業界そのものを変えました。
職種としては「品質管理・品質保証」という共通点がありますが、扱う製品も、業界のルールも、会社の規模も大きく異なります。
さらに、
- 品質管理と品質保証の違い
- 受託製造とオリジナルブランドの違い
- 製造工程の考え方
- 製品に求められる品質の考え方
など、さまざまな違いがあります。
そのため、単純に「前の仕事のやり方をそのまま使えばいい」というわけにはいきません。
以前は、試験を中心に分析を行い、得られた結果から考察したり、異常があれば原因を突き止めたりすることが仕事の中心でした。
現在は、製品そのものの試験だけではなく、製造工程全体を見ながら品質を考えることが増えました。
製品の物性や特性を考慮しながら、
「なぜこの品質になるのか」
「工程に問題はないのか」
「より安定した製品を作るにはどうすればいいのか」
といった視点で考える機会も増えています。
正直なところ、まだ転職して3ヶ月なので、今の仕事について分からないこともたくさんあります。
ただ、これまでとは違う環境に身を置いたことで、同じ「品質」という仕事でも、業界によって考え方や仕事の進め方が大きく変わるということを実感できました。
同じ仕事を続けていると、慣れている分、仕事そのものは楽になります。
一方で、新しい環境に飛び込むと、分からないことばかりで最初は大変です。
それでも、知らないことを覚えたり、今までとは違う視点で物事を考えたりすることで、時間の流れを長く感じるくらい、仕事に新鮮さがあります。
大変ではありますが、新しいことに挑戦しているときの方が、仕事を通して成長している実感を持ちやすいのかもしれません。
今回の転職では、仕事内容だけでなく、業界そのものを変えたからこそ得られた知識や経験があります。
これは転職して良かったことの一つだと感じています。
転職して後悔したこと
転職して良かったことを紹介してきましたが、もちろん後悔していることもあります。
転職したこと自体を後悔しているわけではありません。
ただ、前の職場を離れたことで、「前の会社の方が良かったな」と思う部分もあります。
今回は、その中でも特に感じていることを3つ紹介します。
①管理基準が異なるため、モヤモヤすることがある
これは、医薬品から工業製品へと業界を変えたことによる部分が大きいと思います。
前職の医薬品業界と現在の工業製品では、品質を管理するための考え方や判断基準が異なります。
例えば、何か問題や異常が発生した際に、
「その製品は品質的に問題ないのか?」
を判断する場面があります。
医薬品では、再試験や原因調査などを行い、問題がないことを確認してから判断するという考え方が強くありました。
一方、現在の仕事では、異常が発生した製品の周辺で製造された製品との比較や、これまでの技術的な知見などをもとに、品質への影響を判断することがあります。
もちろん、これは扱っている製品の違いや、企業ごとの品質管理の考え方の違いによるものです。
どちらが正しい、間違っているという話ではありません。
ただ、医薬品業界で比較的厳格な品質管理を経験してきた自分としては、
「これで品質を保証していいのかな?」
とモヤモヤしてしまうことがあります。
とはいえ、工業製品では医薬品とは違ったスピード感も求められます。
すべてを医薬品と同じような管理方法にしてしまえば、コストや時間がかかりすぎてしまうでしょう。
そのため、今後は現在の業界の考え方にも順応していく必要があると思っています。
その一方で、前職で身につけた品質管理の考え方の中にも、現在の仕事に活かせる部分はあると思います。
前職のやり方をそのまま持ち込むのではなく、使える部分を現在の仕事に取り入れていく。
これが今の自分には必要なのかなと感じています。
②同期がいない
これも転職して感じた大きな変化です。
前職は新卒で入社したため、100人以上の同期がいました。
同じタイミングで入社し、同じように仕事を覚えていく仲間です。
もちろん全員と仲が良かったわけではありませんが、仕事の愚痴を言ったり、悩みを相談したり、会社のことについて言い合ったりできる存在がいました。
ある意味、一緒に社会人生活をスタートした仲間だったのだと思います。
しかし、転職すると状況が変わります。
同じタイミングで入社する人がいたとしても、
- 年齢
- これまでの経験
- 知識
- 仕事に対する価値観
などが違います。
もちろん、それは悪いことではありません。
むしろ、自分とは違う経験を持った人と仕事をすることで、新しい考え方を知ることもできます。
ただ、新卒のときにいたような、
「みんなで一緒にスタートして、同じように成長していく」
という感覚はありません。
転職して仕事自体には満足しているのですが、以前のように一緒に並走していく仲間がいないことには、少し寂しさを感じています。
これは転職して初めて気づいた、前職の良さの一つでした。
③分析スキルが退化してしまう
これは完全に自分自身の話です。
前職の医薬品品質管理では、HPLC、GC、IRなど、分析機器を使用した試験を多く経験しました。
もちろん、前職にそのまま残っていたとして、今後もずっと分析業務を続けられたとは限りません。
それでも、品質管理という仕事を続けていれば、何らかの形で分析業務に関わる機会はあったのではないかと思っています。
一方、現在の仕事では、以前ほど分析業務を行う機会がありません。
そのため、当然ですが、分析者としてのスキルは少しずつ使わなくなっていきます。
これは、大学時代から分析業務に関わる品質管理や研究開発の仕事を志望していた自分にとって、少し複雑な部分です。
「自分がやりたかった仕事とは、少し違う方向に進んでいるのではないか」
と思うことがあります。
もし今後、
「やっぱり分析業務をしたい」
と思ったとしても、すぐにその仕事に戻れる保証はありません。
試験者として再び採用してもらうという選択肢はあると思いますが、これまで積み上げてきた経験を考えると、単純に元の道へ戻ればいいという話でもありません。
そう考えると、
「本当にこの道に進んで良かったのかな」
と思うこともあります。
ただ、転職してまだ3ヶ月です。
今の仕事についても、まだまだ分からないことばかりです。
もしかすると、今後経験を積んでいく中で、現在の仕事だからこそできることや、分析経験を活かせる場面が見つかるかもしれません。
今の時点では、まだ答えは出ていません。
まとめ
ここまで、自分自身が転職して良かったこと、後悔したことについて書いてきました。
改めて読み返してみると、あまり万人に当てはまる内容ではなかったかもしれません。
それでも、ここで一番伝えたいことは、
私は転職して良かったと思っています。
その一番の理由は、心に余裕を持てるようになったこと、そして家族との時間を大切にできるようになったことです。
以前は、頭の中が仕事でいっぱいになっていました。
実際に仕事を家に持ち帰っているわけではありません。
それでも、プライベートでの会話に仕事の話が入り込むことが多く、楽しい話をするよりも、仕事の話や愚痴を話していることが多かったように思います。
今振り返ると、それだけ仕事が自分の中で大きな割合を占めていたのだと思います。
現在も家族との時間といっても2人の時間ではありますが、今後もし子どもを持つことを考えるのであれば、自分自身に余裕がない状態で、子どものことまでしっかり考えられるのかという思いもあります。
まずは自分自身が健康で、心に余裕を持って生活する。
そのうえで家族との時間を大切にする。
これが今の自分にとっては、仕事よりも大切なことなのかもしれません。
もちろん、まだ転職して3ヶ月ほどなので、今後どうなるのかは分かりません。
今は余裕を持って仕事に取り組めていますが、これから仕事を覚えていくにつれて忙しくなる可能性もあります。
それでも、今の時点では転職して良かったと感じています。
もし今、転職を考えている人がいるのであれば、どの業界に行くのか、どの会社に行くのかも大切です。
しかし、それ以上に大事なのは、
「なぜ転職するのか」
という軸をしっかり持つことだと思います。
自分が大切にしたいものは、
- 家族との時間なのか
- 給料なのか
- 人間関係なのか
- 仕事内容なのか
- 自分の時間なのか
- 成長できる環境なのか
人によって違います。
私の場合は、仕事だけでなく、プライベートも大切にできる環境を求めていたのだと思います。
この軸が決まっていれば、転職先を選ぶときにも「自分にとって良い会社なのか」を判断しやすくなります。
逆に、「なんとなく今の会社が嫌だから」だけで転職してしまうと、転職した後にまた同じような不満を感じる可能性があります。
だからこそ、軸がない、あるいはまだ自分が何を大事にしたいのか分からないのであれば、私は焦って転職することはおすすめしません。
これは新卒で就職活動をするときにも同じことが言えると思います。
就職活動では「企業研究をしましょう」「自分のやりたいことを考えましょう」とよく言われますが、実際に経験してみると、自分が何を求めているのかという軸がないと、面接でもうまく話せないというのは本当なのだと思います。
転職でも就職でも、
「自分は何を大切にして働きたいのか」
ここを考えることが、最初の一歩なのかもしれません。


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