転職してから数ヶ月が経ち、現在の仕事にも少しずつ慣れてきました。
以前の記事では、「転職して良かったこと・後悔したこと」というテーマで、転職後に感じたことを書きました。
転職して良かったことはたくさんあります。
一方で、今の会社で働いているからこそ、
「前の会社って、実は良かった部分もあったなあ」
と思うことも増えてきました。
今まで何社も経験している人であれば、これまでの経験を比較することで、それぞれの会社の良いところや悪いところが見えてくるのかもしれません。
ただ、私はまだ2社しか経験していないため、今回はあくまで2社を経験した中で感じた比較になります。
それでも、実際に転職して環境が変わったからこそ気づけたこともあります。
今回は、私が転職してから改めて感じた、「前の会社の良かったところ」について書いていこうと思います。
こうした会社の良い部分は、実際に働いていると当たり前に感じてしまい、なかなか気づきにくいものです。
しかし、就職活動や転職先を選ぶ際には、「今の会社に何があるのか」「次の会社には何を求めるのか」を考えるうえでも重要なポイントになるかもしれません。
これから就職や転職を考えている方の参考になればと思います。
① 同期や先輩・上司が多い
ある程度規模の大きい企業では、毎年一定数の新入社員を採用します。
4月になるとニュースでも、入社式で多くの新入社員が集まっている様子が取り上げられることがありますよね。
かくいう私も、新入社員のときは100人以上の同期と一緒に社会人生活をスタートしました。
入社後の研修では、多くの同期と話す機会があり、その中には今でも関わりのある人もいます。
同期がいることで、
- お互いに切磋琢磨する
- 仕事で分からないことを相談する
- 悩みを共有する
- 仕事とは関係なく遊ぶ
といったことができます。
時には、同期同士で仲良くなって、その後の人生につながるような出会いになることもあるかもしれません。
このように考えると、同じタイミングで社会人生活をスタートする仲間がいることは、思っていた以上に大きなメリットだったのだと、転職してから感じました。
また、規模の大きな企業では、当然ながら先輩や上司の人数も多くなります。
その中で、
「この人みたいになりたい」
「この人の仕事の仕方を参考にしたい」
と思えるような先輩や上司を見つけることができれば、それも自分の成長につながります。
一方で、会社の規模によっては同期が少なかったり、中途入社の場合はそもそも「同期」という存在がいなかったりします。
特に転職の場合、入社後の人間関係はある意味で運の要素も大きいと思います。
自分で上司を選ぶことはできないため、もし直属の上司や周囲の人と合わなかった場合、仕事そのものとは別の部分でストレスを感じることもあります。
現在の会社は前職よりも社員数が少なく、もちろん同期らしい同期もいません。
部署の人数も以前と比べるとかなり少なくなりました。
ただ、幸いなことに、現在は周囲の良い人たちに恵まれています。
そのため今のところ大きな問題はありませんが、転職するとこうした「人とのつながり」も一から作っていく必要があるのだと実感しました。
新卒で大きな企業に入社することには、給与や福利厚生、会社の安定性など、分かりやすいメリットもあります。
しかし、実際に転職してみて改めて感じたのは、「同期や先輩、上司がたくさんいる環境」そのものにも価値があったということです。
働いているときは当たり前だと思っていましたが、失って初めて気づくものもあります。
そういう意味でも、新入社員として規模の大きな企業に入社し、そこで働き続けることは、転職して初めて気づいた前の会社のメリットの一つだと感じています。
② 厳格な品質管理の環境
何度も書いていますが、前職では医薬品の品質管理を担当していました。
医薬品は、薬機法などの法令に基づいて製造・管理され、日本薬局方に収載されている医薬品については、その規格や試験法に従って品質を確認します。
そのため、医薬品の品質管理では、決められた試験方法や手順を厳格に守ることが求められます。
例えば、注射用タゾバクタム・ピペラシリンという、名前を言うだけでも少し難しい注射剤を例にしてみます。
試験項目には、
- 性状
- 確認試験
- pH
- 純度試験
- 水分
- エンドトキシン
- 製剤均一性
- 不溶性異物
- 不溶性微粒子
- 無菌
- 定量法
など、さまざまなものがあります。
特にHPLCを用いて測定する類縁物質や定量法などは、試験方法がかなり細かく決められています。
試料の調製方法、測定条件、測定が正しく行われているかを確認する方法、結果の判定方法、使用するカラムや検出器、移動相など、細かい部分まで規定されています。
そして、基本的にはその決められた方法を守って試験を行わなければなりません。
少しでも手順を間違えたり、測定の確認項目が基準から外れたりすれば、その結果をそのまま採用することはできず、必要に応じて異常として調査を行います。
もちろん、これは一つの医薬品についての話です。
実際には製品や原料ごとに、それぞれ規格や試験方法が設定されています。
詳しい内容を見たいという方は下のURLをご参照ください。

こちらの医薬品各条に医薬品それぞれの試験法が載っています。
こうした厳格な品質管理の環境で仕事をしてきた私としては、工業製品の品質管理に携わるようになってから、「医薬品とはかなり考え方が違うな」と感じることがあります。
工業製品の品質管理が甘いという単純な話ではありません。
ただ、医薬品では「決められた方法で正確に確認すること」に非常に大きなウエイトが置かれているのに対して、工業製品ではそれに加えて、納期や生産スピード、コストなどとのバランスもより強く求められるように感じます。
そのため、感覚的には、
「医薬品の品質に対する厳格さを100としたら、工業製品は50くらいなのでは?」
と思ってしまうこともあります。
もちろん、これは品質そのものが50%という意味ではありません。
あくまで、品質に対してどれだけ厳密に管理するのか、どれだけ時間や人員をかけるのかという、「品質に対する熱量や力のかかり方」の違いを表したものです。
業界によっても違いますし、企業によっても大きく異なるので、一概には言えません。
どちらが良い、悪いという話でもありません。
ただ、医薬品のような厳格な品質管理を経験してきた自分としては、現在の仕事で「ここまでの判断で出荷するのか」と感じて、少しモヤモヤする場面があるのも事実です。
そう考えると、品質という部分だけで考えれば、前の職場の方が自分には合っていたのかもしれないと思うことがあります。
③ 分析業務の経験
前職の良かったところとして、もう一つ挙げたいのが分析業務を経験できたことです。
理系の大学に通っていた人であれば、卒業研究などで分析機器を扱った経験がある人も多いと思います。
私自身も大学時代に分析に触れており、
- HPLC
- GC
- IR
- UV
- MS
など、さまざまな分析方法について学んでいました。
そのため、前職で分析業務に携われたことは、自分にとって興味のある仕事でした。
細かい作業を積み重ねて、最終的に正確な数値が出たときには達成感があります。
また、もし異常な値が出た場合には、
「なぜこの結果になったのか?」
「試験方法に問題はなかったのか?」
「製品側に何か問題があるのではないか?」
と原因を考察する必要があります。
そういった部分では、少し研究者のような目線で物事を考えることができ、自分には合っている仕事だと感じていました。
しかし、現在の職場には、前職で使用していたような分析機器はありません。
そのため、
「今後、こうした分析機器を触ることがなくなってしまうのかな」
と思うと、少し寂しく感じることもあります。
とはいえ、同じ会社にいたとしても、ずっと分析業務だけを続けられるわけではありません。
実際、前職でも徐々に管理業務が増えており、いずれは分析そのものよりも、管理する立場になっていたと思います。
そう考えると、現在の仕事も完全に分析から離れているわけではありません。
分析機器を使うことはありませんが、数値として結果が出て、それを判断したり、考察の材料にしたりするという部分は共通しています。
これまで培ってきた分析の考え方が、形を変えて今の仕事にも生きているのかもしれません。
分析が好きなら、若いうちにいろいろ経験するのもあり
私は転職を繰り返すことを積極的におすすめするわけではありません。
ただ、品質管理という仕事一つをとっても、
医薬品・食品・化学・工業製品など、扱うものによって仕事の内容は大きく変わります。
若いうちであれば、いくつかの業界を経験してみることで、
「自分は何をしているときが楽しいのか」
「どんな環境なら長く働けるのか」
「分析が好きなのか、管理が好きなのか」
といったことが見えてくるかもしれません。
私自身、医薬品から工業製品へ転職したことで、前職の良さにも、現在の仕事の良さにも気づくことができました。
同じ品質管理という職種でも、業界が変われば仕事内容は大きく変わります。
だからこそ、若いうちにさまざまな経験をして、自分に合った仕事を探してみるのも一つの方法なのかもしれません。
まとめ
今回は、転職してから改めて感じた「前の会社の良かったところ」について書いてきました。
振り返ってみると、
- 同期や先輩・上司が多かった
- 厳格な品質管理の環境で仕事ができた
- HPLCやGCなどの分析業務を経験できた
など、今になって気づく良さがいくつもありました。
前の会社にいたときは、これらを当たり前のことだと思っていました。
しかし、実際に環境が変わってみると、「当たり前だと思っていたことが、実は恵まれていたんだな」と感じることがあります。
一方で、転職したことを後悔しているわけではありません。
今の会社では、前職では経験できなかった業界の知識や、品質保証という立場で製造工程全体を見る経験ができています。
つまり、どちらの会社が良い・悪いという話ではないのだと思います。
会社が変われば、良いところも変わります。
そして、自分に合う環境も人によって違います。
だからこそ、転職を考えている人には、今の会社の不満だけを見るのではなく、
「今の会社で当たり前になっているけど、実は良いところは何だろう?」
と一度考えてみてほしいです。
そのうえで、
「それでも自分が大切にしたいものは今の会社では得られない」
と思うのであれば、転職を考えてみてもいいのではないでしょうか。
私自身、転職して初めて前の会社の良さに気づきました。
そして同時に、今の会社に来たからこそ得られたものもあります。
環境が変わることで、今まで見えていなかったものが見えてくる。
これも転職の一つの面白さなのかもしれません。


コメント